更新日2016.11.01

香りと思い出がリンクする「プルースト現象」って?

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街中で人とすれ違った時にふわっと香った香水で、昔の恋人を思い出す。どこかの家から漂ってくるカレーの匂いで、子どもの頃の記憶が蘇る。そんな経験をしたことはありませんか?

特定の香りから、それにまつわる過去の記憶が呼び起こされることを「プルースト現象」といいます。フランスの文豪マルセル・プルーストの代表作『失われた時を求めて』の文中で、主人公がマドレーヌを紅茶に浸したとき、その香りがきっかけとなって幼年時を思い出すという描写にちなんで名付けられました。

通常、視覚や聴覚などの五感はまず情報を管理する大脳新皮質に伝わります。しかし、嗅覚だけは大脳新皮質を経由せずに、本能を司る扁桃体や記憶を司る海馬へダイレクトに伝わるのだとか。そのため「匂い」は他の感覚に比べて、人の記憶や感情に大きな影響を与えているといわれているのです。

実際に、最近の研究で良い記憶と結びついた「匂い」には精神的な傷や疲労を癒す効果があるという報告があり、「プルースト現象」に脳や体を活性化させて、健康状態を改善する効果があるということも分かったそうです。

近年になって少しずつ解明されている「プルースト現象」。

この香りのチカラは、すでに日常のさまざまなシーンで応用されています。

例えば、ある有名なチョコレートショップでは商品はしっかり包装されているにも関わらず、店内にはチョコレートの香りがいっぱい。甘く漂う香りがきっかけとなって、あの口どけを思い出させ、購買意欲をそそる効果があるのだとか。また、ある航空会社では爽やかな香りをおしぼりや客室乗務員につけて、機内の空気を爽やかで快適にするとともに、フライト後にまた搭乗したくなる効果を狙っているのだそう。

紹介したのはビジネスのお話ですが、もっと身近に「プルースト現象」を活用できる方法があります。それは、良い記憶とつながっている香りを意識的に嗅ぐことで、落ち込んだ気分を引き上げること。

リンクしている記憶は人それぞれですが、遊園地で食べたポップコーンの匂いで楽しい気持ちを呼び覚ましたり、金木犀の香りで懐かしい子ども時代を思い出したり、自分だけの「プルースト現象」を呼び起こす香りをみつけて日常に取り入れてみるとストレス解消に役立つかもしれません。ちなみに筆者は、ポマードの香りを嗅ぐと優しくてオシャレだった自慢の祖父を思い出し、懐かしさと幸せな気持ちがこみ上げてきます。

香りは人の記憶に強く残るもの。だからこそ、自分を相手に印象づけたい時には素敵な香りを味方につけたいですよね。好きな人と過ごす時には、お気に入りのアロマキャンドルを焚いてみるといいかもしれません。

大切な人にせっかく思い出してもらえるなら、素敵な香りとともに。良い香りがきっかけとなって、自分のことを思い出してもらえたら嬉しいですね。

編集者編集者
藤木フラン
藤木フラン /ライター
広島生まれ。横浜で暮らしはじめたのをきっかけに、2009年頃から携帯小説の連載や子ども向けアニメのシナリオなどを担当。フリーのライターとして、さまざまな媒体に関わっている。

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